ボクたちが別れることは決まっていた。
この道をしばらくいっしょに歩いたら、そのときがやって来る。
キミはボクの隣で黙ったまま歩いている。
ふと向こうを見ると年配の男性が子犬を連れていた。
キミは気持ちをごまかすためか、子犬のもとに駆け寄った。
ボクも後を追った。
しばらくキミは子犬の頭をなでていた。
男性もボクも黙って見ていた。
ふと彼はボク達に言った。
「幸せそうなカップルだね。」
キミはしばらく子犬の頭をなでた後、男性にお礼を言い歩きはじめた。
ボクもゆっくり追った。
その時が来た。
「幸せだったよ」
キミはそれだけ言って、ボクが何か言うのを待たずに立ち去った。
キミが見えなくなってから、ボクもつぶやいた。
「幸せだったよ」