キミトボクノハナシ

創作します

サヨナラの帰途

ボクたちが別れることは決まっていた。

この道をしばらくいっしょに歩いたら、そのときがやって来る。

キミはボクの隣で黙ったまま歩いている。

ふと向こうを見ると年配の男性が子犬を連れていた。

キミは気持ちをごまかすためか、子犬のもとに駆け寄った。

ボクも後を追った。

しばらくキミは子犬の頭をなでていた。

男性もボクも黙って見ていた。

ふと彼はボク達に言った。

「幸せそうなカップルだね。」

キミはしばらく子犬の頭をなでた後、男性にお礼を言い歩きはじめた。

ボクもゆっくり追った。

その時が来た。

「幸せだったよ」

キミはそれだけ言って、ボクが何か言うのを待たずに立ち去った。

キミが見えなくなってから、ボクもつぶやいた。

「幸せだったよ」