キミトボクノハナシ

創作します

真夜中。そろそろ日付が替わろうとしていた。

一人暮らしのボクは、寝るための準備をしていた。

そのとき。

ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。

こんな夜遅くに誰だろう。

珍しい時刻の来客に、ボクは首をひねりながら玄関に向かった。

ドアの前に立ち、そっとのぞき窓からドアの外を見る。

目がこちらを見ていた。

あれ?とボクは一瞬考えた。

夜で外が暗いから、ボク自身の目が反射して見えているのだろうか?

でも、それだと、のぞき窓の役割を果たさない。

もう一度ボクはのぞいてみた。

やはり目がこちらを見ている。

と、次の瞬間、その目がまばたきするのが見えた。

 

夜空

ボクは君を思って眠れずに、窓の外の夜空を見る。

君はもう眠りについただろうか、ボクの思いを知らずに。

いつもと変わらぬ明日、変わらぬ君の笑顔。

変わらぬ事を願い、でもいつか変わる事を願う。

伝える事の大切さと怖さの狭間に押しつぶされるボク。

そんなボクを笑うかの様に静かに星が流れる。

 

キズアト

君は新入りの初々しいナースだった

そしてボクは君にとっての初めての患者さん

大けがをして入院したとき

ボクはもうダメだと思ったけど

君を一目見たとき

大けがに喜んだボクがいた

入院とリハビリ生活が長くなり

君ともずいぶん話したね

いよいよ退院

ボクは感謝の意味はもちろん

それ以上の意味を込めて

君にプレゼントを用意した

プレゼントを渡すとき

とても

とても

勇気がいったよ

血圧が上がりすぎて傷口が開くんじゃないかと思ったよ

そして君からの返事

 

「私には婚約者がいます」

 

ボクの恋は終わり

心と体に傷跡だけが残った